今回は、顧客満足度を向上する方法ではなく、逆に低下させる方法をご紹介します。
なぜ満足度が下がるのかを把握することは、今後のサロンワークもおのずと変化させられるきっかけとなります。
マーケティングにおいてサロンは、顧客に期待を抱かせて売上を上げる手段を講じます。
顧客はサロンの技術やサービスに期待して来店を決定していますから、顧客に期待を抱かせるのはある意味サロン側にとっては当然の行為と言えるでしょう。
ところが顧客に期待させると逆に顧客満足度が低下してしまうこともあるので注意が必要です。
顧客に期待を持たせることが、なぜ逆に満足度の低下に繋がってしまうのか、事例を見ていくことにしましょう。
あるサロンでは、数年前からの売れ残り美顔ローラーが大量にあったため、顧客にサービスしようと、来店してくれたお客には先着で無料プレゼント贈呈のチラシを配布しました。
数年前から売れ残っているその美顔ローラーは、今では新商品が発売されている型落ち商品ですが、価格は高価で、以前流行った商品でした。
このチラシの効果があってか、通常よりも多くのお客が来店し、「以前流行った商品です」と一言伝え、無料で配布したのですが、お客の反応は2種類に分かれました。
一つのタイプは無料でもらい、「ありがとう」とスタッフに感謝して帰るお客。
そしてもう一つのタイプは無料でもらったにも関わらず、クレームをつけるお客でした。
「以前流行った古い商品を配ってどうするんだ」とか「こんな型落ちの商品をおまけにするくらいならもう少しメニューを安くしたらどうだ」など通常の営業時に比べて予想外のクレームを受けることになりました。
調べてみると感謝してくれたお客はこのような特典があることを知らずに来店し、たまたまプレゼントを手にした人達でした。
クレームをつけたお客はチラシを見て自分の中で過度の期待を膨らませて来店した人達だったのです。
私達の日常生活の中でも、誕生日やバレンタインデー、ホワイトデーなどのプレゼントをもらって当然の日に、期待していたプレゼントをもらっても、事前に期待していた分感動は薄くなりがちです。
一方で何の前触れも無しに突然もらったプレゼントは期待していなかっただけに、感動する気持ちが一際高くなった経験はないでしょうか。
マーケティングの世界でも原理は同じで、顧客に期待させればそのサービスを提供して当たり前と思われますが、思いがけないサービスを提供すれば顧客は期待していなかった分満足度を向上させることができます。
今回の事例では、顧客は事前に美顔ローラー無料プレゼントをもらえるということで期待して来店したお客は、数年前に発売された型落ちの古い商品という期待はずれの結果に不満をもらし、全く知らなかったお客は突然のプレゼントに予想外のお得感を感じて感謝したというわけです。
サロンワークにおける技術や接客の提供も同様で、「悩みをすべて解決します」や、「どんなご要望にもお応えします」など、過度な期待を持たせておきながらそれが提供できなかった場合、大幅に満足度を低下させます。
しかしそこで、予想外のサービスを提供できた場合、一生涯の顧客と成り得るお客を獲得できるでしょう。
顧客満足度を下げる一つの要因は、顧客に過度な期待を与えるが、それに見合ったサービスを提供できていない、ということです。
GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO ? 布野哲也 ? ?Funo Tetsuya
Contact usお問い合わせ
お問い合わせフォームはこちら