経歴詐称というのは学歴や職歴を偽ること、もしくは偽って公開することです。
最近では、ショーンKさん(本名:川上伸一郎さん)が、大幅に経歴を詐称し話題になっています。
彼はそういった行為によって全ての仕事を失ってしまいましたが、美容サロンの場合はどうなのでしょうか。
一般的には学歴の詐称がしばしばとりだたされますが、美容サロンにおいて考えられる詐称は職歴です。
職歴や学歴の詐称は重大な非違行為であるとされ、サロンの就業規則において懲戒解雇事由に定められているのが一般的です。
ただし学説の中には、経歴詐称のみで懲戒解雇にするにはいささか厳しすぎるという判断もあり、具体的にサロンの秩序が侵害されたと言える場合でなければ懲戒事由には該当しない、という見解も有力です。
この見解によると、よほどの重要な経歴の詐称でなければ、サロン秩序の具体的な侵害があるとはいえないので、懲戒解雇を課すことには否定的ということになります。
以前にこういった例もありました。
美容サロンでの実務経験があまりないのにも関わらず、5年の経験があるとする虚偽の申請をし、実際にサロンワークを十分にこなすことができなかったスタッフに対して解雇がなされたというケースで、その解雇を有効と認めた例もあります。
このケースでは解雇に止まりましたが、もし懲戒解雇という判断が下されれば再就職ができなくなるほどの重い処分を下されることになります。
美容サロンは技術提供の仕事である為、仮にスタッフが経歴詐称をしてサロンに入ったとしても、見合う仕事ができていれば問題がないという判断ができます。
しかし、虚偽の申告をしているスタッフに、仕事ができるだけの判断でサロンに勤務させておいていいのでしょうか。
そして注意しなくてはいけないのが、資格を有するべき美容サロンであれば有資格者であることを確認することです。
正社員としていったん雇ってしまうと簡単に解雇することができません。
無資格で雇用してしまい、後に保健所などから指導が入った場合は、営業停止の措置をされるなど、サロンにとって大きなダメージになります。
採用段階で技術のチェックを行うことはもちろんですが、その他の事柄に関しても慎重な判断が必要です。
一昔前に無免許美容師が問題になり、その後は美容業界においての詐称問題は少なくなったと言えます。
しかしそれと同時に美容師ブームも終わり、美容学校へ入学する学生も激減してしまいました。
一度失った信頼は業界にもダメージを与えてしまったのです。
同じように今回のショーンKさんの一件で、経営コンサルタントや専門家などの信頼を失った人々は多いようです。
経歴詐称は個人だけの問題ではなく、時には業界全体にも悪影響を及ぼしてしまう深刻な問題といえます。
記事の著者
GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO 布野哲也 Funo Tetsuya
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