美容師という職に就いた方は、20代の駆け出しの頃は遅くまで練習に励み、スタイリストを目指して切磋琢磨していたかと思います。
その夢も叶え30代を過ぎると、将来的にどういった方向性で進んでいけば良いのか、現状のままでいいのか、漠然と不安を抱えながら仕事をしている人も多いようです。
今回は男性美容師さんの将来について考察していきたいと思います。
理美容ニュースの記事に、年代別、男性美容師比率が載っています。
それによると20歳〜34歳の男性美容師は約9割を占め、35歳以上になると12%、40歳以上になると6%しか存在しないとのことです。
この数字が示すことはどういったことなのか考えていきます。
今回はプレイヤーとしての考察ですので、美容室オーナーや、企業内で管理職や教育ディレクター、店舗統括責任者などの役職に就いている美容師はいったん置いて考えます。
一技術者としての男性美容師の顧客は40歳を境に下降していくと言われています。
その理由は様々ありますが、一つは新規客の入客が減少する傾向にあるからです。
美容室オーナー側からすると、技術も接客も合わせ持ち、且つトレンドを意識し技術向上に余念のない、将来性もある、いわゆる働き盛りの30歳前後のスタイリストに新規客を担当して欲しいとの心理にかられます。
経験や技術はもちろん30歳のスタイリストよりも勝っていますが、家庭事情や様々な環境を取り巻く40代のスタイリストは、駆け出しの頃のようにがむしゃらに練習したり、自信がトレンドを発信していくというのは薄くなるようです。
様々な側面を加味し、美を提供する場所、と考えると必然的に40代スタイリストの新規客の担当数が減少します。
もう一つの理由に、1日の担当数の限界が出てくることが挙げられます。
体力的な問題と、以前よりも技術スピードが落ちてしまうような傾向が重なり、必然的に1日の担当客数が減少するということです。
以前は1日に何十人と担当していたスタイリストも、確実なものを提供したいという想いと、以前から故意にしている顧客が離れてしまわないようにというような考えもあり、1日の予約数を徐々にセーブしていく方向にあります。
そうすることによって、新規客の入客タイミングも逃し、日に日に顧客が減少する傾向にあるようです。
人は40代に差し掛かると、おのずとお金の工面が必要になる場合があります。
大きくなった子供にかかる費用や、新たに家やマンションなどの購入、様々なイベントごと等、20代・30代では予測もしなかった出費が重なります。
前述で説明したように、顧客が全くの0になるわけではなく、今まで培ってきた信頼のおける顧客は残り売上が立てられますので、金銭的にそれほど難しい状況に陥る訳ではないと推測されます。
しかし美容業界では、年功序列制度を取り入れた給与体系の美容室はほとんど存在せず、売上歩合によって大幅に給与が変動する制度を取り入れているサロンがほとんどです。
美容師の平均年収は約280万、月額で25万ということになります。
顧客が通常スタイリストよりも減少傾向にあるということは、その平均年収よりも給与が下回る可能性が高いと言えます。
仮に40代美容師の平均給与月額が23万円と仮定します。
毎月出費する、子供2人の養育費、家のローン、車のローン、生活費など諸々合わせると、給与面でなかなか厳しい現実が待っています。
顧客も減少し、給与も減少してしまうとなると、より良い待遇の場所を求めて転職活動へと踏み切ります。
それが、40代以上の男性美容師比率6%という数字に表れています。
40代になってしまうと、一般的にも転職が困難です。
今までの経験を生かし、美容メーカーやディーラーに転職できる方もいますが、全く畑違いの仕事を0からやり直す方がほとんどです。
しかし、先を見据えた現実を捉えることによって、今まさに何をするべきかが見えてきます。
美容師という職業は、顧客さえいれば100歳までも仕事ができる、定年のない職業です。
40代以上の男性美容師が6%しか存在しない現実を、皆様はどう捉えますか。
※追加記事
より詳細な情報を載せた追加記事を公開いたしました。
「中年男性美容師の将来、その後」
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記事の著者
GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO 布野哲也 Funo Tetsuya
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