開業時に融資を得る際、すべて自分の貯金等で開業資金を保有しておけば問題ありませんが、美容室の場合は設備資金が多額にかかりますので難しい場合があります。
今後の生活費も加味すると、開業に投下できる資金も限られてくる可能性があります。
その際、身内の方や友人、知り合い等、出資してくれる方が存在する場合、その資金を自己資金として融資申請できるのかどうか、ご説明いたします。
今回は個人事業主を想定しています。
例えば、自身で開業資金として投下できるお金を100万円保有していたとします。
要件にもよりますが、その場合単純に、融資金額は倍額の200万円というのが妥当なラインです。
仮に身内からプラス200万贈与を受けたとします。
そうすると自己資金100万円と200万円で計300万円になり、融資金額も600万円借り入れられる可能性があります。
融資する金融機関側からすると、実の父や母であれば血のつながりもあり、贈与を受けたとしても問題がないという判断になります。
しかし微妙なラインが、兄や姉、弟などの兄弟です。
一つは年齢です。
例えば開業者が30代の場合、兄弟も30代前後と予想されます。
兄弟は自身の生活等があるにも関わらず、わざわざ贈与をするというのは一般的ではないという判断で、懸念する材料になってしまいます。
確実に難しいのが自身の奥さんや旦那さんです。
配偶者になると生活を共にしておりますので、そこで資金移動したところで自己資金とは判断できません。
知り合いや友人から贈与を貰う場合、自己資金になる場合があります。
しかし、どういった繋がりなのか等は調べられ、その方達の経歴書や預金通帳も提出する必要があります。
ですので、出資者のことも事細かく調べられますが、問題なければ自己資金として見なされます。
給料を口座に入れず、または毎月出金し、別立てで貯金していたとします。
いわゆる履歴の残らない貯金です。
この場合は資金の出処の調査ができませんので、どこからか借りてきたのではないか、不明なお金という判断になり、自己資金とは認められません。
何も証拠や履歴がない資金や貯金は自己資金にはなりませんので、身内から贈与を受けたら、その方から振込という形で銀行口座に証拠を残さないと自己資金とは認められません。
よくあるのが手渡しで現金贈与を行い、後から自身の通帳に入金してしまうと、前述のタンス預金と変わらない判断になってしまいます。
開業する際、資金面で協力してくれる人はいるかも知れませんが、しっかりとした手順を踏んでいかないと自己資金にはなりませんので注意が必要です。
記事の著者
GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO 布野哲也 Funo Tetsuya
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