平成26年のデータになりますが、厚生労働省が「賃金構造基本統計調査」により、理美容師に対する年収の調査結果を発表しました。
それによると理美容師の平均年収は263万円という結果です。
近年のサラリーマンの年収が400〜430万前後と言われてますので、決して高いとは言えません。
この理美容師平均年収は、未だ売上を立てることが難しいアシスタント、顧客の獲得をこれからしていくジュニアスタイリストやスタイリストも含まれています。
そのボリュームゾーンも考えられますので、サラリーマンよりも低い結果にはなってしまいます。
しかしながら月収で100万円、年収1200万円を超えるスタイリストが存在することは確かです。
雇用のスタイリストとして高所得を得るためにはどのような仕事をしなくてはいけないのか考察していきます。
美容室を経営していく上では、経費に関しての目安になる指標があります。
美容室経営者はその指標をもとに給与を設定していきます。
利益の上がりやすい原価率、販管費比率ですが下記をご確認ください。
もちろん、上記指標よりも地代家賃比率や広告宣伝比率が高いサロンも多く存在します。
上記指標の計算をすると、営業利益が12%出ることになりますので堅実的な経営指数といえるのではないでしょうか。
しかしながら立地や戦略によって指標は前後しますので、あくまでも目安として捉えてください。
様々な条件はありますが、美容室の人件費は経営方針によっては40%以内に収めていかないと、経営を圧迫しかねない数値になってしまいます。
そう考えると単純計算ですが、
・50万円の売上を上げるスタイリストの給与は20万円
・100万円の売上を上げるスタイリストの給与は40万円
という結果になります。
何度も申し上げますが、経営方針によっては経営を圧迫しかねない数値の目安として捉えてください。
そして、法定福利費は含まれていない給与額と捉えてください。
では月収100万円を手に入れる為にはいくら売上を上げたらいいのでしょうか。
上記指標を元にすると、最低でも250万円以上の売上が必要です。
しかしここで重要なのが、あくまでも一人で売上を上げた場合の例です。
美容室全体で考えます。
250万売り上げる為に繁盛サロンの生産性指標65万円を加味すると、アシスタントが3人必要になります。
アシスタントの平均給与が約16万2千円ですから、まず3名分の48万6千円を差し引きます。
売上250万 ?ー ?アシスタント給与3名分48万6千円 ?= ?201万4千円
この額から経営を圧迫しかねない人件費40%を捻出します。
201万4千円 ?× ?40% ?= ?80万5千6百円
もし250万の売上を上げたとしても、給与が80万5千6百円にしかならないので、これでは100万円に届きません。
法定福利費を無視した単純計算40%という給与の構成比ですが、100万円の給与を貰うためにはいくらの売上が必要でしょうか。
まず根拠となる計算式から記載いたします。
生産性65万 ?× ?スタイリスト含む5名 ?= ?売上325万
アシスタント平均給与16万2千円 ?× ?4名 ?= ?アシスタント給与総額64.8万円
売上325万 ?ー ?アシスタント給与総額64.8万円 ?= ?260.2万円
260.2万円 ?× ?40% ?= ?104万8百円
ここで給与額が100万円を突破しました。
アシスタント4名と共に、325万以上の売上をつくることができれば100万円の給与をもらえる計算になります。
年間1,200万円以上の年収を得ている美容師は、毎月325万以上の売上をたたき出す驚異のプレイヤーと言えます。
あくまで雇用されているプレイヤーの美容師を想定しております。店長や会社としての管理職やオーナーは除外し、ブログなどの広告収入やその他の副収入がある方もこの考えには入れておりません。
単に325万以上の売上を上げれば月収100万円を手に入れる可能性は極めて高くなります。
しかし325万円の売上を上げるためには、セット面やシャンプー台などの、お客を受け入れる為の設備的要素と、生産性を維持し続けるアシスタントの能力が必要です。
今回は単に月収100万円を得る為の売上数値の考察ですので、単価や生産性は一旦無視しますが、仮に与えられたセット面が2面のみで、アシスタントも1名しか付かないという想定の場合、325万の売上を上げるのは困難になってしまうでしょう。
325万の売上を達成したとしても、アシスタントが6人も7人もついてると人件費で圧迫され月収100万円は得られなくなります。
そう考えると「それ相応の設備」と「それ相応の能力」が伴っていないと100万円という月収を手に入れるのは困難なのかもしれません。
325万円の売上というのは人によって価値観が違いますが、業界内でもその数字を達成するプレイヤーが2%存在すると考えると、国内でも4,000人以上の美容師が年収1,200万超えをしていることになります。
売上目標というのは根拠がなければ何の意味を成さない数字になってしまいますが、そこに「絶対に月収100万円を稼ぐ」という明確な目標があればどうでしょうか。
記事の著者
GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO 布野哲也 Funo Tetsuya
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