商店の並んでいる町の一角や通りなどに不思議なお店を発見した経験はないでしょうか。
異様にさびれており、ショーウィンドウのガラスはひび割れ、色あせたメニューサンプルはホコリが積もり、看板の照明は消えたままのお店。
一見潰れているのかと見間違えるほどの「浮いている」飲食店や洋服屋さんなどを街で発見することがあると思います。
今回はそのようなお店の中でも「不思議な美容院」にスポットを当ててみようと思います。
前述したように、一見営業しているのか不明な美容院を街で見かけたことがある方も多いと思います。
閉店しているかと思いきやたまに人の気配があり、しっかりと美容院として機能しているお店。
年配の美容師さんが運営しているケースが多く見られます。
そのような美容院のパターンとして、「来店したら断られる」ケースも多いようです。
集客意識もなく、まさに潰れそうなお店と表現していいと思いますが、そこには一体どのようなカラクリが隠されているのでしょうか。
カットとカラーをする為に美容室に行こうと決断したとします。
しかしいつも行っている美容室が休みのため、苦肉の策で「不思議な美容院」へ行ってみるとします。
確かに年配の美容師さんは存在しますが、お客の気配はない。
気軽にカットとカラーを頼もうとすると「今日は予約でいっぱいです」と断られてしまうとします。
この美容院、どんなタイプのお店かお分かりになるでしょうか?
・一見さんお断りの高級店なのか?
・特別な日だけ営業する隠れた名店なのか?
もちろんどちらでもありません。
以前からの顧客のみで成り立っており、その顧客が来店する時にだけ営業する美容院です。
しかし、顧客を大事に運営していくことは重要なことですが、しっかりとした収益構造が構築されていないとお店の存続は難しいでしょう。
商売を存続していくためには必要な利益を出し続けていかなくてはいけません。
必要な利益を生むためには売上を増やすことを重要視するサロンも多いですが、経費を削減するということも重要な経営判断です。
単純明解ですが「売上を増やす」か「費用を減らす」事が出来れば利益を出す事ができます。
この不思議な美容院では、徹底的に費用を減らすことにより、新規集客に着目せずに堅実な経営ができていると言えます。
カットとカラーをオーダーすると断られる理由は、余剰材料が存在せず、カラー施術ができないので断らざるをえないということになります。
カラー材やパーマ液などの材料仕入れは、現在の顧客の来店周期を熟知しているので、来店しそうなタイミングで使用する量のみ発注するという方法をとっています。
その日のうちに使い切る材料しか発注していないので余剰在庫も発生する余地がなく、まさに徹底したコストカットと言えます。
仮に材料を使い切らなかったとしても、将来必ず無くなる材料であるとの予想もできます。
また、新規客を満足させるためには今までにない新たな技術提供を必要とする可能性がありますが、今の技術で満足している顧客しか存在しないので新たな技術習得に関わる教育コストも全くかかりません。
こういった美容院の多くは地代家賃のかからない持ち家、もしくは持ち物件で運営しています。
そして働いているのは年配の美容師さんだけ。
賃料も人件費もかからない上に材料費に無駄が発生しない。
そして広告宣伝費も皆無と言えましょう。
つまり、売上から引かれる費用は純粋に材料代だけで済みます。
支払いに関しては現金のみでカード支払いが存在せず、そこにかかる手数料も発生しない、かつ当日の売り上げは全て現金で回収できてしまいます。
年中無休で営業するために正社員を雇用したものの来店客数が伸びず、人件費や材料費などその他関わる費用を無駄にしてしまう美容室と比べると比較にならないほど利益を出せる仕組みです。
カラー施術をする際、適正な使用量の予測を誤り、余ってしまったカラー剤をシンクなどに捨ててしまった経験はないでしょうか。
その際に持つべき意識は、余ったカラー剤を捨てるということはお金を捨てているのと同様なことだという意識を持つことです。
お金を捨てる人はほとんどいませんが、カラー剤は捨ててしまう。
このことに何も躊躇しない場合は危険です。
利益を増やすには売り上げを増やすと同時に、経費を減らすという意識を持ち合わさなくてはいけません。
記事の著者
GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO 布野哲也 Funo Tetsuya
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