最近では美容師の年収に関しての記事が取りだたされることが多く、他業種に比べて少し低いのではないかという疑問の声が挙がっています。
そんな中、美容師の働き方も以前に比べ多種多様になっており、業務委託サロンやフリーランスで収入を得たり、サロンには雇用されているが、別でヘアメイクの仕事をしたりなど「副業」をする方も多くなっています。
手に職を持っていれば副業をするにあたっても新聞配達やレジのバイトなど、業種の異なる仕事をする必要がなく存分に自身のスキルを発揮できるのも美容師の魅力の一つです。
しかし美容師の一部の方は業種の異なる「キャバクラ」で副業をする方もいることは事実です。
そのことがどういったことを意味するのか考察していきます。
キャバクラで働くキャバクラ嬢は常に容姿に気を配ることを前提としています。
キャバクラに行く男性のお客はきれいで魅力がある女性に惹かれる為、お店に立つ際は容姿を綺麗に魅せることに意味があります。
言い換えればお客を獲得するためにはきれいで魅力的な女性でなければキャバクラ嬢は務まらないことになります。
この意味だけ切り取るとキャバクラ嬢は芸能人やモデルと何ら変わるところはありません。
女性の容姿でヘアスタイルやメイクは極めて重要なポイントになります。
キャバクラ嬢は男性の注目を惹く魅力的なヘアスタイルやメイクをすることがポイントになります。
当然ですが美容師は毎日顧客に対して魅力的なヘアスタイルやメイクを提供する仕事であって、それがどういったことなのか熟知しています。
その点を考えると美容師は自身の容姿を魅力的に魅せることが一般の方よりも容易であることが想像でき、キャバクラ嬢としての魅力を発揮できる要因にもなります。
年収に関しての記事が取りだたされる中、美容室の長時間勤務で時給換算した場合と、キャバクラ嬢の時給では差があります。
容姿を魅力的に魅せる術はもっているし、毎日サロンで接客しているとキャバクラに来るお客への会話も問題がない。
それならいっそのことキャバクラ嬢を副業として働くほうが割が良いのではないかという論理です。
これだけの理由があればキャバクラ嬢で美容師が多いということは頷けます。
キャバクラ嬢を副業とすると当然ながらサロン閉店後の夜に働くことになります。
そこではお酒を飲む機会も増えますし、深夜まで働くとなると体力を維持できるか否かという問題がでます。
副業を禁止しているサロンも多いですし、ましてや美容師としての仕事に影響が出てしまうとどちらが本職か分からなくなってしまいます。
美容師に限らず副業は会社やサロンの就業規則に則り判断しなくてはなりません。
しかし実は副業全面的禁止は法律上許されないことなのです。
社員は、会社との雇用契約によって定められた勤務時間にのみ労務に服するのが原則であり、就業時間以外は社員おのおのが私生活で自由に使うことができる時間ということがあります。
サロン営業後は、家に帰って家族と過ごす、友人と食事をする、資格試験の勉強をするなど、人それぞれの過ごし方があり、そこに「副業を行う」という選択肢が加わっても問題はありません。
民法にも労働基準法にも、2つ以上の会社と雇用契約を結んだり、美容師と他の仕事を兼業することを制限したりするような規制は存在しません。
したがって、副業禁止の根拠は、ひとえに勤務先の就業規則によるものであり、社員のプライベートな時間に対し、就業規則によって会社やサロンが介入し、無制限に副業を禁止することは法律上は許されないのです。
しかし副業禁止の就業規則が有効となるパターンがあります。
・疲労等により本業に影響が出るほどの長時間の副業の場合
・本業と副業が競業関係になる場合
・副業の内容が会社の信用を失墜させるような場合
上記のパターンの副業を行った場合、会社やサロンは全面的に副業禁止にすることができます。
人はその仕事を一生の仕事と考える場合と、一時的な仕事と考える場合があります。
副業はもちろん後者の考え方が多いでしょう。
しかしキャバクラ嬢を掛け持ちしているうちに副業が本職になってしまうパターンもあります。
美容師とキャバクラ嬢は業種は大きく違うものの、お客と会話をし接客して指名を貰う、という点では類似していなくもありません。
毎日キャバクラに出勤し指名を獲得すれば美容師よりも給料がよくなり、美容師と類似している部分がある仕事なので、もはやキャバクラ嬢を本職でやっていこうという考えを持つ方は少なくないそうです。
そうした考えを持ってしまった方は美容師を辞め、キャバクラ嬢に専念していくことになります。
一時的な収入を得るために始めた副業が忙しくなり、夢だった美容師を辞めてしまうのは本末転倒だと思います。
一時的な収入であればそれまでと割り切って副業する必要があります。
独立開業する為に一旦、業務委託サロンやフリーランスで収入を得る方も多いですが、年月が経つうちに開業の夢を忘れそのまま働き続ける方も多くいます。
目的を明確にしておかないと負のスパイラルに陥ってしまう可能性があるので注意が必要です。
前述したように、法的に副業は就業規則によって全面的に禁止されるものではありません。
しかしながら、多くの会社やサロンにおいては、会社での本業に集中してほしいと考え、どちらかというと副業には否定的な考え方を持っている経営者が多いと思われます。
それは経営者として当然のことであり、しっかりとした利益を残すことでサロンの繁栄やスタッフ満足の向上を望んでいるからと言えます。
副業を行う場合には、法的には合法であっても、会社やサロンに発覚した場合、どのように会社と折り合いをつけるのかを考えておかなければなりません。
すなわち、まだまだ日本においては副業を行うことは、収入面のメリット以外は、リスクやデメリットが大きいのも事実です。
そのため、何となく副業を行うのではなく、自分がなぜ副業を行うのかを明確にしたうえで、それでも必要ならば経営者と相談した上で覚悟を決めて行うという姿勢が大切でしょう。
記事の著者
GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO 布野哲也 Funo Tetsuya
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