「中年男性美容師の将来」のその後

今回は番外編です。

先日、「中年男性美容師の将来」という記事を公開いたしました。

http://gradbook.co.jp/2016/03/23/中年男性美容師の将来/

 

この記事の中に、「40歳以上の理美容師は6%しか存在しない」という情報を公開していますが、この数字はこの件に関しての統計調査の結果を公開している、理美容ニュースから抜粋しております。

http://ribiyo-news.jp/?p=7007

 

この記事は弊社基準ではありますが、弊社の今までのどの記事よりもPV数が高く、1日で数万のPV数を誇る話題性のある記事でした。

今回は番外編ですが、様々な反応やご意見を頂戴いたしましたので、執筆余話として記事を書かせていただきます。

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本当に40歳以上の男性理美容師は6%しか存在しないのか?

40歳以上の男性理美容師が6%という数字は、前述したこの件に関しての統計調査の結果を公開している理美容ニュースから抜粋しております。

政府が2012年2月22日に発表した賃金構造基本統計調査(平成23年)のデータですので、紛れもない事実だということが分かります。

ここで考察するべきなのが、40歳以上の男性理美容師は6%しか存在しないとしても、美容室企業の教育ディレクターや店舗マネージャー、美容メーカーやディーラーなど、美容師プレイヤー以外で美容業界に従事している方々がどれくらい存在しているのか、ということを考えなくてはいけません。

その件に関しては確実な数値を示すものが見つかっておらず、情報公開ができずにいます。

今まで培ってきた経験を同じ業界で発揮できるわけですから、何かしらの形で美容業界に携わっている方々が相当数存在しているのではないかと予測できます。

そして、平成10(1998)年度以降、美容師数は毎年1万人以上のペースで増加した期間があり、その時期の男性美容師が40代に差し掛かろうとしていますので、より40歳以上の男性美容師が増加することも予想できます。

 

給与だけの問題で美容師を辞めてしまうのか?

「中年男性美容師の将来」の記事は、捉え方によると、94%の美容師がお金がなく辞めてしまうことのような論説になってしまいます。

40歳以上でもプレイヤーとして、一流の美容師さんが多く存在していることは私も熟知しております。

プレイヤーを退き、経営に徹するオーナーや、企業の管理職として働く、元プレイヤーが多く存在しているのも熟知しております。

そこから考察すると、単にお金がなく辞めてしまうのではなく、企業内での昇格や、新たなステージを切り開くためにプレイヤーを退く、と表現した方が良かったでしょう。

誤解を招く表現をしたことをお詫び申し上げます。

 

様々な方向性

まず考察できるのが、6%のプレイヤーとして活躍している男性美容師の方々は、支持される顧客も多く、生涯プレイヤーとして活躍できる一流の美容師である、ということが考えられます。

一方、94%の方々はそうでないという訳ではなく、プレイヤーは退いたが、長年美容業界に従事したことによる経験や知識を生かし、様々な方向で活躍できる方々と言っていいのではないでしょうか。

 

理想の将来、理想のサロンとは

弊社は「理想のサロンづくりのブランディングサポート」をしております。

「理想のサロン」と表現すると少し抽象的になってはしまいますが、あえてそのような表現をしております。

なぜなら、理想のサロンという感覚が人それぞれ異なるからです。

多額な広告宣伝費を投入して集客し、指名顧客を獲得し売上を上げ、忙しい日々を送りながら利益をもたらす、それが理想のサロンかどうかというのは人の尺度によって異なります。

もちろん企業は永続的に利益を生み出していくということは重要なことですが、顧客のニーズが様々なように、美容師の将来の考え方も様々です。

一流のデザイナーになり業界を索引していくのか、あるいはプライベートを充実させ彩のある将来にしていくのか、色々な角度から方向性が考えられます。

単に売上を上げることのみに専念するのではなく、その方々、そのサロンの理想の将来に基づいたブランディングが重要だと思っております。

 

最後に

先日の「中年男性美容師の将来」の記事は、捉え方によるとネガティブな内容になっております。

しかし、そういった情報を知らない方が恐ろしいことだと思います。

知っていると知っていない、では雲泥の差が生まれます。

その記事によって何か答えを見い出したいわけではなく、美容業界にはそのような現状が存在している、ということをお伝えしたかった想いが込められています。

 

私の会社のホームページにも記載させていただいておりますが、美容サロンに関するすべての情報は包み隠さず公開し、お伝えさせていただきたいと思っております。

そして、皆様とは「本音」のお付き合いができれば本望です。

 

記事の著者
GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO 布野哲也 Funo Tetsuya

開業時の融資は1,000万が基準

美容サロンを開業する際の悩みの一つに、開業資金はどうやって調達するのか、ということがあります。

全て自己資金で賄うことが可能だったり、身内が援助してくれるケースもあるかと思いますが、開業者の7、8割の方が融資を受けています。

7、8割というと、開業者のほとんどが融資を受けていることになります。

資金調達に関しては様々なケースがありますので、今回は美容室の融資金額にスポットを当てご説明いたします。

 

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美容室の開業金額

今回はあくまで美容室の資金調達の記事です。

エステ、ネイル、アイラッシュなど、業種が違うと異なってきますので、業種ごとの情報は別の記事でお伝えしていきます。

 

開業者の方は、「果たしていくらかかって、いくら借りられるのか 」と不安に思っている方が沢山いらっしゃいます。

一般的な指標ですが、美容室の開業費用は坪100万円、という目安があります。

10坪で検討している方は1000万円、20坪の場合は2000万円必要だという、単純計算の指標です。

ですが現在は、以前高額だった内装費用や美容機器など、低価格で提供している業者やメーカーが多く存在していますので、坪100万円という指標も薄れてきています。

物件状態や地域、様々なケースにより前後はしますが、坪70〜80万くらいが目安になってくると思います。

この指標でよく間違われるのが、内装金額だと思ってしまうところですが、全ての開業費用である、という認識をお持ちください。

ただし、ケースにより前後する、しかも大幅に前後する場合がありますのでご注意ください。

 

融資金額1000万円という基準

まず、自己資金が全くないという方はどうあがいても借りられません。

以前にクレジットカードや公共料金等の未払いがあった方も相当厳しくなります。

 

しっかりと用件を満たし、融資申込みに踏み切ったとします。

一般的には自己資金の倍額の融資申込みが可能です。

例えば、300万円保有している場合、600万円の融資額の確実性が高いように、600万円保有していれば、1200万の融資が降りるだろうと考えます。

しかし、初期開業では1000万円以内の融資という基準があります。

逆を言うと、1000万を超える融資は、ハードルが高くなります。

調達先を日本政策金融公庫にした場合の例ですが、公庫は1000万以内の融資であれば支店での決済が出来ます。

要は、渋谷で開業する場合、渋谷の公庫内で半断ができるということです。

1000万を超えると、渋谷の公庫では判断ができなくなり、さらに上の本店まで案件が回ります。

本店の審査を通過してから融資が降りるというような形です。

 

本店の審査を通過するためには、かなり綿密にシュミレーションされた事業計画と、場合によっては顧問税理士が必要です。

下記の計算をご覧ください。

 

・自己資金500万 + 融資額1000万 = 開業資金1500万

 

・自己資金600万 + 融資額1200万 − 税理士報酬120万 − 顧問税理士費用7年間210万 = 開業資金1470万

 

顧問税理士費用は運転資金なので開業資金ではありませんが、将来的に負担する額と捉えてください。

 

1000万以上の融資の希望の場合、審査難易度が高くなるのに加え、税理士報酬や将来的に負担する顧問費用等が発生します。

このことを考えると、初期の開業を検討している方は、1000万以内の融資額で検討するべきです。

 

今回は開業時の資金調達の一部でしたが、身内からもらったお金は自己資金になるのか?、公庫が難しい場合他に調達方法があるのか?、経営時の資金調達はどうしたらいいのか?、美容室以外ではどうなのか?などなど、今後も情報をお伝えしていこうと思います。

 

記事の著者
GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO 布野哲也 Funo Tetsuya

中年男性美容師の将来

美容師という職に就いた方は、20代の駆け出しの頃は遅くまで練習に励み、スタイリストを目指して切磋琢磨していたかと思います。

その夢も叶え30代を過ぎると、将来的にどういった方向性で進んでいけば良いのか、現状のままでいいのか、漠然と不安を抱えながら仕事をしている人も多いようです。

今回は男性美容師さんの将来について考察していきたいと思います。

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40歳以上の美容師は全体の6パーセントしかいない

理美容ニュースの記事に、年代別、男性美容師比率が載っています。

それによると20歳〜34歳の男性美容師は約9割を占め、35歳以上になると12%、40歳以上になると6%しか存在しないとのことです。

この数字が示すことはどういったことなのか考えていきます。

 

40歳から顧客が減少する

今回はプレイヤーとしての考察ですので、美容室オーナーや、企業内で管理職や教育ディレクター、店舗統括責任者などの役職に就いている美容師はいったん置いて考えます。

一技術者としての男性美容師の顧客は40歳を境に下降していくと言われています。

その理由は様々ありますが、一つは新規客の入客が減少する傾向にあるからです。

美容室オーナー側からすると、技術も接客も合わせ持ち、且つトレンドを意識し技術向上に余念のない、将来性もある、いわゆる働き盛りの30歳前後のスタイリストに新規客を担当して欲しいとの心理にかられます。

経験や技術はもちろん30歳のスタイリストよりも勝っていますが、家庭事情や様々な環境を取り巻く40代のスタイリストは、駆け出しの頃のようにがむしゃらに練習したり、自信がトレンドを発信していくというのは薄くなるようです。

様々な側面を加味し、美を提供する場所、と考えると必然的に40代スタイリストの新規客の担当数が減少します。

 

もう一つの理由に、1日の担当数の限界が出てくることが挙げられます。

体力的な問題と、以前よりも技術スピードが落ちてしまうような傾向が重なり、必然的に1日の担当客数が減少するということです。

以前は1日に何十人と担当していたスタイリストも、確実なものを提供したいという想いと、以前から故意にしている顧客が離れてしまわないようにというような考えもあり、1日の予約数を徐々にセーブしていく方向にあります。

そうすることによって、新規客の入客タイミングも逃し、日に日に顧客が減少する傾向にあるようです。

 

給料の問題

人は40代に差し掛かると、おのずとお金の工面が必要になる場合があります。

大きくなった子供にかかる費用や、新たに家やマンションなどの購入、様々なイベントごと等、20代・30代では予測もしなかった出費が重なります。

前述で説明したように、顧客が全くの0になるわけではなく、今まで培ってきた信頼のおける顧客は残り売上が立てられますので、金銭的にそれほど難しい状況に陥る訳ではないと推測されます。

しかし美容業界では、年功序列制度を取り入れた給与体系の美容室はほとんど存在せず、売上歩合によって大幅に給与が変動する制度を取り入れているサロンがほとんどです。

美容師の平均年収は約280万、月額で25万ということになります。

顧客が通常スタイリストよりも減少傾向にあるということは、その平均年収よりも給与が下回る可能性が高いと言えます。

仮に40代美容師の平均給与月額が23万円と仮定します。

毎月出費する、子供2人の養育費、家のローン、車のローン、生活費など諸々合わせると、給与面でなかなか厳しい現実が待っています。

 

40代になると美容師を辞める現実

顧客も減少し、給与も減少してしまうとなると、より良い待遇の場所を求めて転職活動へと踏み切ります。

それが、40代以上の男性美容師比率6%という数字に表れています。

40代になってしまうと、一般的にも転職が困難です。

今までの経験を生かし、美容メーカーやディーラーに転職できる方もいますが、全く畑違いの仕事を0からやり直す方がほとんどです。

 

しかし、先を見据えた現実を捉えることによって、今まさに何をするべきかが見えてきます。

美容師という職業は、顧客さえいれば100歳までも仕事ができる、定年のない職業です。

40代以上の男性美容師が6%しか存在しない現実を、皆様はどう捉えますか。

※追加記事

より詳細な情報を載せた追加記事を公開いたしました。

「中年男性美容師の将来、その後」

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

http://gradbook.co.jp/2016/03/26/%E3%80%8C%E4%B8%AD%E5%B9%B4%E7%94%B7%E6%80%A7%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E5%B8%AB%E3%81%AE%E5%B0%86%E6%9D%A5%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BE%8C/

 

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GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO 布野哲也 Funo Tetsuya

 

経歴詐称問題

経歴詐称というのは学歴や職歴を偽ること、もしくは偽って公開することです。

最近では、ショーンKさん(本名:川上伸一郎さん)が、大幅に経歴を詐称し話題になっています。

彼はそういった行為によって全ての仕事を失ってしまいましたが、美容サロンの場合はどうなのでしょうか。

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経歴詐称は懲戒解雇

一般的には学歴の詐称がしばしばとりだたされますが、美容サロンにおいて考えられる詐称は職歴です。

職歴や学歴の詐称は重大な非違行為であるとされ、サロンの就業規則において懲戒解雇事由に定められているのが一般的です。

ただし学説の中には、経歴詐称のみで懲戒解雇にするにはいささか厳しすぎるという判断もあり、具体的にサロンの秩序が侵害されたと言える場合でなければ懲戒事由には該当しない、という見解も有力です。

この見解によると、よほどの重要な経歴の詐称でなければ、サロン秩序の具体的な侵害があるとはいえないので、懲戒解雇を課すことには否定的ということになります。

 

以前にこういった例もありました。

美容サロンでの実務経験があまりないのにも関わらず、5年の経験があるとする虚偽の申請をし、実際にサロンワークを十分にこなすことができなかったスタッフに対して解雇がなされたというケースで、その解雇を有効と認めた例もあります。

このケースでは解雇に止まりましたが、もし懲戒解雇という判断が下されれば再就職ができなくなるほどの重い処分を下されることになります。

 

オーナー側は見極めが必要

美容サロンは技術提供の仕事である為、仮にスタッフが経歴詐称をしてサロンに入ったとしても、見合う仕事ができていれば問題がないという判断ができます。

しかし、虚偽の申告をしているスタッフに、仕事ができるだけの判断でサロンに勤務させておいていいのでしょうか。

 

そして注意しなくてはいけないのが、資格を有するべき美容サロンであれば有資格者であることを確認することです。

正社員としていったん雇ってしまうと簡単に解雇することができません。

無資格で雇用してしまい、後に保健所などから指導が入った場合は、営業停止の措置をされるなど、サロンにとって大きなダメージになります。

採用段階で技術のチェックを行うことはもちろんですが、その他の事柄に関しても慎重な判断が必要です。

 

個人だけでなく業界に多大な悪影響を及ぼす

一昔前に無免許美容師が問題になり、その後は美容業界においての詐称問題は少なくなったと言えます。

しかしそれと同時に美容師ブームも終わり、美容学校へ入学する学生も激減してしまいました。

一度失った信頼は業界にもダメージを与えてしまったのです。

同じように今回のショーンKさんの一件で、経営コンサルタントや専門家などの信頼を失った人々は多いようです。

経歴詐称は個人だけの問題ではなく、時には業界全体にも悪影響を及ぼしてしまう深刻な問題といえます。

 

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GRADBOOK Inc. (グラッドブック)
代表取締役CEO 布野哲也 Funo Tetsuya

ネイリストは本当にいなくなるのか?

以前にオックスフォード大学が、あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」という論文を発表しました。

現在行っている人の仕事が、コンピューターに代替されるという大胆予測の論文が世界でも話題になっています。

その中に美容業界でも「ネイリスト」が消える職業に入っており波紋を呼んでいますが、果たしてその通りなのでしょうか?

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「消える職業」「なくなる仕事」

??スポーツの審判
??レストランの案内係
??電話オペレーター
??レジ係
??ネイリスト
??ホテルの受付係
??データ入力作業員
??簿記、会計、監査の事務員

(一部抜粋)

 

上記は一部ではありますが、将来はコンピューターに代替され、「消える職業」と言われている中にネイリストも入っています。

これらの仕事がなぜなくなるかというと、人工知能を搭載したコンピューターや、細かな作業ができるロボットが開発され、それに取って代わられるであろうと予測しているからです。

 

オートネイルの登場

現にネイル業界では、ネイリストの技術が必要のない、オートネイルという機械が登場しています。

すでに、受付や使い方のレクチャーのみをする案内係りだけが存在するオートネイルサロンも登場しています。

さらに、美容室やアイラッシュの店舗で、待合にオートネイルを設置し、気軽にネイルを楽しんでもらうサービスを導入しているサロンも増えています。

この傾向を見てしまうと、ネイリストが機械に代替されている現状が紛れもなく始まっているということになります。

 

ネイリストは本当にいなくなってしまうのか?

この論文にはネイリストにとって否定的な内容でありますが、現にオートメーション化が行われつつあるということで、信憑性が増してきています。

しかし、どんな否定的な内容でも、この論文を前向きに捉えることで、今まで以上の商品やサービスを提供でき、それこそ、最先端のテクノロジーや時代の流れに負けることがないようにすることが可能だと思います。

 

論文の内容通り、世界最先端の機械を使えば、一流ネイリストの作品と同等のものができるかもしれません。

そして「完成品のみ」だけ見るとしたら、人間より優れた作品、超微細なネイル技術を投入することが可能かもしれません。

しかし、美容の仕事は、単なる技術面だけが重要なのではありません。

しっかりとお客に寄り添い、本当にお客が求めているものを提供できた時、機械にはできない「本物の仕事」ができるのではないでしょうか。

この記事を書いている私はネイリストの知り合いが沢山いますが、私が尊敬するネイリストは、そうした本物の仕事ができる「一流のネイリスト」です。

 

しかし、大学の教授に消える職業と発表されてしまったのは紛れもない事実です。

どんなことからも教訓を得て前に進めていかなければ、何も変化せず、機械に取って代わられるのを待つのみになってしまいます。

皆様は、ネイリストが「消える職業」「なくなる仕事」と言われるのを、どう捉えますか。

 

記事の著者

GRADBOOK Inc. (グラッドブック)

代表取締役CEO ? 布野哲也 ? ?Funo Tetsuya

美容の専門知識を伝えられているか?

美容サロンに顧客が来店したら、まず求めるものをヒアリングすると思います。

それに対して最善の方法を提案すると思いますが、その内容が顧客に伝わっているか疑問に感じたことはないでしょうか?

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ほとんどの顧客は専門知識がない

施術内容に関して上手く説明できなかったり、特殊な技術の提案が難しかったりした経験があると思います。

人は、何か専門的な話を全く知らない人に伝えなくてはいけない時、すごく難しく感じる傾向にあるようです。

なぜかというと、専門知識のない人が、どれぐらいそのことについて知っているか把握していないからです。

美容サロンで働き始め、一度専門家になってしまうと、専門知識が無い状況というのが想像しづらくなります。

 

例えば美容室の場合です。

今業界内でも話題になっている、ブリーチサプリメントという商材があります。

顧客にこの商材が必要と判断し提案する場合、どのように説明しますか?

下記の文章をご覧ください。

「通常、ブリーチ剤と2剤を混ぜると一気に大量の活性酸素が発生し、素早いスピードでメラニンを壊します。そして、その活性酸素はメラニンだけで無く髪の内部のタンパク質も壊してしまうので、大きなダメージの原因となります。しかし、海洋性ミネラルなどが入ったこのブリーチサプリを使う事で、活性酸素の発生量を抑え、スピードも緩やかにすることが可能です。これにより、お客様の髪のダメージを極端に抑える事ができるという、画期的な施術方法ですがいかがでしょうか?。」

一般個客に対してここまでの説明をしてしまうのは稀な例ではありますが、この提案、伝わっているでしょうか?

 

伝える側として注意しなくてはいけないのが、上記のような説明が正しいと思ってしまうことです。

サロンスタッフ同士では専門的な用語が飛び交っても問題ありませんが、その用語を用いても一般個客に伝わっているという思い込みをしてしまうと危険です。

 

この記事を書いている私自身も経験があります。

ヘアカットをするために美容室を訪れた際、カウンセリングしてもらっている中で、下記のような提案をいただきました。

「ご希望のヘアスタイルですと、サイドに角が残ってしまうので、そこはカットさせていただいた方がバランスが良いかと思います。」

こういった提案でした。

正直、仕上がりイメージが全くわかなかったのですが、なんとなく「角が残る」のは嫌だと感じ、提案を受け入れました。

私自身、ヘアスタイルにはこだわりはないのですが、仕上がりがなんとなく違う感覚がし、その美容室にもう一度行くことはありませんでした。

 

専門用語・専門概念の壁

専門家は、数々の専門用語や専門的な概念を生み出します。

専門用語を使うことで俗語とは違う厳密な意味を持たせたり、全く新たな意味を持たせたりすることができます。

専門的な概念は、それそのものが専門研究の成果でもあり、また次のステップへの礎となります。

専門家にとって、専門用語や専門概念は、必要不可欠なものであるのですが、同時にそれらを知らない一般人との距離が開くことになります。

この距離を埋める作業が「教育」や「説明」ですが、距離が開けば開くほど、その難易度は上がり、時間や労力をどんどん要するようになります。

つまり、専門分野が発展していけばいくほど、一般個客との差が開き、距離を縮めるのが難しくなります。

 

美容のプロとしての説明責任

美容のプロとして知識を深めることは必要ですが、その知識を分かりやすく明解に表現し、顧客にきちんと伝わる説明技術が必要不可欠です。

 

美容師であれば下記のような表現をしたことはありませんか?

 

アウトラインを削ることによって・・・・

 

レイヤーを入れることによって・・・・

 

グラデーションで締めることによって・・・・

 

この専門的な表現が、顧客にどのようなイメージを与えているのか、検討が必要です。

 

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GRADBOOK Inc. (グラッドブック)

代表取締役CEO 布野哲也  Funo Tetsuya

美容サロンをドタキャンする心理

日々顧客対応をしている中、予約しているお客が時間通りに来店しない、何も連絡なしに来なかった、などがあると思います。

特に、その来店しなかったお客の予約のおかげで、他の顧客を断らざるをえなかった場合は憤りさえ感じてしまいます。

はたしてそれはお客の責任なのでしょうか。

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ドタキャンするにも理由があります。

サロンを予約しているにもかかわらずドタキャンしてしまう理由を並べてみます。

 

・体調が悪くなった

 

・予約日時を勘違いしていた

 

・身内に急な不幸があった

 

・急な仕事が入ってしまった

 

・家族の体調が悪くなった

 

などの理由が挙げられます。

もちろん、美容サロンに行くよりも優先順位が高い事柄が生じると、ドタキャンせざるを得なくなります。

 

では、全くの連絡なしに来店しない人はどうでしょうか。

主な理由は下記2つです。

 

・そのサロンに行くのが面倒になった

 

・他に行きたいサロンができた

 

という理由です。

どちらとも共通して言えるのは、予約日時の前日や直前でそう感じているということです。

 

サロンに行くのが面倒になった

面倒になったというのは言い換えれば、そのサロンに行く必要が感じられなくなったということです。

もちろん予約時は行こうと思っていますが、直前になり、そのサロンに行くことで得られるメリットが感じられなくなり、交通費や時間をかけてわざわざ行く必要があるのか判断し、結果行かないということになります。

もともとルーズなお客も存在はしますが、人は必要であれば必ず得ようとします。

そのサロンに行くのが面倒だ、と思わせてしまうのは、サロンの魅力や必要性、得られるメリットを伝えきれていないサロン側にも原因があるかもしれません。

 

他に行きたいサロンができた

そのような理由があれば予約キャンセルの連絡くらいしてもらいたいところですが、やはりこの理由も直前になって思い立ち行動に移しているので、連絡がないという結果になります。

人は求めることを得るためには比較検討します。

1サロンに限定するのではなく、様々な情報の中であなたのサロンを選びます。

スマホを見れば勝手に情報が入ってくる時代です。

ぱっと目にしたFacebookやインスタグラムなどの記事に、予約したサロンよりも魅力的なお店だという判断ができる情報があれば、直前でもそちらに移ります。

ドタキャンされてしまったサロンは、他の競合サロンよりも魅力を発揮できていない可能性があります。

 

その日の売り上げが悪かったのはドタキャンしたお客が悪い、などのようにその人に責任転換しがちですが、ほとんどの人は理由があり行動に移しますので、ドタキャンという行為をされたらサロンを見直す良いきっかけになるのではないでしょうか。

 

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代表取締役CEO ? 布野哲也 ? ?Funo Tetsuya

指名をつかむ演出

美容サロンは物販店や飲食店、アパレルショップ等と大きく違う点は、人につく商売だと言われます。

もちろん顔なじみの飲食店や仲の良い洋服屋さんに、店員に会いたいから行く、というのはもちろんありえますが、その中でも美容サロンは「この人に施術してほしい」というのが色濃く出る業界です。

何十万人と働いているこの業界で、指名してくれる顧客を獲得することは至難の技といえましょう。

今回は、指名顧客を獲得する演出についてご説明します。

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個人の価値を高める演出方法は下記が挙げられます。

 

1 ?魅せ方

 

2 ?エピソード

 

3 ?アクセント

 

4 ?権威付け

 

5 ?希少化

 

今回は、1の魅せ方についてご説明いたします。

 

個人の魅せ方

指名客を効率的に獲得するには個人を魅力的に見せる演出が必要です。

アパレルショップで例えると、おしゃれにコーディネートされたマネキンのようなもので、最大の魅力を引き出すことによって全ての洋服を買いたくなるような手法です。

個人が最も輝いているシーンを演出すると、価値が大幅に高まり、お客は今後もこの人にお願いしたいという心理にかられます。

 

まず、ある美容師の技術の見せ方の例ですが、カウンセリングで施術イメージがついた後に必ずすることがあるそうです。

それは、目をつむって頭の骨格を触ることです。

骨格を把握するということは重要なことですが、目をつむる必要はありません。

意図的に目をつむることにより、この人はすごい技術者だと思われる演出をしています。

 

技術だけでなく、仕事中のヘアスタイルやファッションなどで演出するのも一つの方法です。

飲食店では、料理そのものではなく、盛り付けや器で価値を上げるというのが非常に効果を上げるように、見た目で信頼を得るのも一つの方法です。

ようは、素で接客するのと、最も輝いているシーンを魅せるのでは、明らかに指名顧客の数が違ってくるということです。

 

何十万人とライバルがいる中で、指名顧客を獲得するには、それ相応の魅せ方という演出が必要です。

ただしここで重要なのは、顧客のニーズにマッチしている魅せ方であることです。

ニーズにマッチしていない見せ方をしてしまうと、逆に信用を失いかねないリスクもはらんでいます。

 

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代表取締役CEO ? 布野哲也 ? ?Funo Tetsuya

美容サロンの待ち時間の提示による不満の原因

サロンで働いていると、顧客が来店したのにも関わらず、担当者が別のお客を施術している場合や、自らも手が離せず、顧客をお待たせする場面があると思います。

そんな場合、「少々お待ちください」や「担当があと5分ほどで参ります」など、顧客に待ち時間を知らせる対応をとると思います。

しかしこの待ち時間の伝え方によっては、顧客に不満をもたらせる可能性がありますので注意が必要です。

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5分待つという基準

たとえばあなたが、5分程お待ちくださいと案内され、実際は10分待たされたらどのような気持ちになるでしょうか。

逆に3分だけで済んだとしたらどうでしょうか。

人は誰しも5分待ちと案内されれば、5分後に自分の番がくることを期待し始めます。

ここで5分という時間が顧客の中で基準になります。

この5分より早ければ期待を上回って満足度が向上しますし、逆に5分を大幅に超えれば不満に思います。

ということは、これまでの経験で5分程度の待ち時間が予測される時は、余裕を持った待ち時間の提示をすることにより、不満足を感じる顧客を減らすことが可能になるということです。

 

これは他の場面でも考えられます。

たとえば、お客が問い合わせの電話をしてきた場合、解決に5分程度の時間が予測されたとします。

ある担当者はお客を失望させないために時間を短めに、『2、3分ほどお待ちいただけるでしょうか?』と対応する場合があります。

他の担当者は余裕を持って、『10分ほどお時間をいただけるでしょうか?こちらの方から折り返しお電話差し上げます』と対応する可能性があります。

これらの二通りの対応に対して、同じ5分という解決時間でも顧客の満足度は大きく変わってきます。

前者では満足度を高めようとする行動が裏目に出て『2、3分といったのに5分も掛かって倍近く待たされた』と顧客は思います。

後者では顧客の期待度をあらかじめ低くすることによって『10分と言っていたけど半分の5分で済んだ』と思うでしょう。

いずれにしろ顧客に高いハードルを持たせ、サロンとして応えられる事は当然であり、もし応えられなければ、満足度の低下というダメージを負う事になります。

顧客は事前に情報を与えられると自分の中で基準を設けます。

事前に告知したサロンのサービスがその基準を超えるものであったとしても大幅なものでなければ顧客は提供されて当然と感じますし、基準を超えられなければ失望し不満を感じてクレームの素になってしまいます。

待ち時間の提示のような顧客に情報を提示するサービスであれば、最悪の事態を想定してお知らせするなど、顧客に過度の期待を抱かせないことによって満足度をある程度コントロールすることが可能になります。

 

最後に極論になってしまいますが、そもそもお客を待たせない、待たせても待っているという意識を与えないサロンであれば、何の問題もありません。

 

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代表取締役CEO ? 布野哲也 ? ?Funo Tetsuya

顧客満足度を下げる方法

今回は、顧客満足度を向上する方法ではなく、逆に低下させる方法をご紹介します。

なぜ満足度が下がるのかを把握することは、今後のサロンワークもおのずと変化させられるきっかけとなります。

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過度な期待を与える

マーケティングにおいてサロンは、顧客に期待を抱かせて売上を上げる手段を講じます。

顧客はサロンの技術やサービスに期待して来店を決定していますから、顧客に期待を抱かせるのはある意味サロン側にとっては当然の行為と言えるでしょう。

ところが顧客に期待させると逆に顧客満足度が低下してしまうこともあるので注意が必要です。

顧客に期待を持たせることが、なぜ逆に満足度の低下に繋がってしまうのか、事例を見ていくことにしましょう。

 

無料プレゼントの告知を行って顧客満足度を下げたサロンの例

あるサロンでは、数年前からの売れ残り美顔ローラーが大量にあったため、顧客にサービスしようと、来店してくれたお客には先着で無料プレゼント贈呈のチラシを配布しました。

数年前から売れ残っているその美顔ローラーは、今では新商品が発売されている型落ち商品ですが、価格は高価で、以前流行った商品でした。

このチラシの効果があってか、通常よりも多くのお客が来店し、「以前流行った商品です」と一言伝え、無料で配布したのですが、お客の反応は2種類に分かれました。

一つのタイプは無料でもらい、「ありがとう」とスタッフに感謝して帰るお客。

そしてもう一つのタイプは無料でもらったにも関わらず、クレームをつけるお客でした。

「以前流行った古い商品を配ってどうするんだ」とか「こんな型落ちの商品をおまけにするくらいならもう少しメニューを安くしたらどうだ」など通常の営業時に比べて予想外のクレームを受けることになりました。

調べてみると感謝してくれたお客はこのような特典があることを知らずに来店し、たまたまプレゼントを手にした人達でした。

クレームをつけたお客はチラシを見て自分の中で過度の期待を膨らませて来店した人達だったのです。

私達の日常生活の中でも、誕生日やバレンタインデー、ホワイトデーなどのプレゼントをもらって当然の日に、期待していたプレゼントをもらっても、事前に期待していた分感動は薄くなりがちです。

一方で何の前触れも無しに突然もらったプレゼントは期待していなかっただけに、感動する気持ちが一際高くなった経験はないでしょうか。

マーケティングの世界でも原理は同じで、顧客に期待させればそのサービスを提供して当たり前と思われますが、思いがけないサービスを提供すれば顧客は期待していなかった分満足度を向上させることができます。

今回の事例では、顧客は事前に美顔ローラー無料プレゼントをもらえるということで期待して来店したお客は、数年前に発売された型落ちの古い商品という期待はずれの結果に不満をもらし、全く知らなかったお客は突然のプレゼントに予想外のお得感を感じて感謝したというわけです。

 

サロンワークにおける技術や接客の提供も同様で、「悩みをすべて解決します」や、「どんなご要望にもお応えします」など、過度な期待を持たせておきながらそれが提供できなかった場合、大幅に満足度を低下させます。

しかしそこで、予想外のサービスを提供できた場合、一生涯の顧客と成り得るお客を獲得できるでしょう。

 

顧客満足度を下げる一つの要因は、顧客に過度な期待を与えるが、それに見合ったサービスを提供できていない、ということです。

 

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