就業時間や残業、社会保険や賃金の設定
美容サロンにも適用している助成金は多数あります。
制度や要件は毎年変わっていきますが、適用できれば数万円~数十万円の助成金を得ることが可能です。
その為には、就業時間や残業などの管理、就業規則が必要な場合が多くあります。
最新の制度は都度変わりますので常に情報を公開していきます。
労働基準法では、休憩時間に関しては以下のように定められています。
1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも、45分の休憩を与えなければならない。
1日の労働時間が8時間を超える場合には少なくとも、60分の休憩を与えなければならない。
(労働基準法34条)
とされています。
よって、サロンの営業時間が1日10時間を超えることが想定されるケースなのであれば、8時間を越える労働時間が前提となるので、スタッフの休憩時間は60分以上としなくてはならないケースがほとんどと思われます。
(ただし、1ヶ月変型制を採用し、繁忙期の調整で1日6時間以下の労働時間の設定をする日があるのであれば、その日は休憩時間は不要です。)
この“休憩時間”なのですが、美容サロンの店舗経営者やオーナーがよく陥りやすい間違いというのがあります。
それは『“休憩時間”には、作業中ではなくただのお客さん待ちの状態である“手待ち時間”を含んでいいんだ』というように誤解されているということです。
法律上、休憩時間というのは労務の提供から完全に離れた状態をいうのであって、お客が来店すれば、対応しなければならない、いわゆる“手待ち時間”は休憩時間としては解釈されません。
ですから、『お客さん待ちの時間を積み重ねっていったら、1時間、2時間に達した。うちはちゃんと休憩時間を与えている』という抗弁をしたとしても、それは休憩時間ではなく、労働時間としてカウントされます。
このような誤解で、従業員側との休憩時間を巡ってのトラブルは事欠きません。
トラブルになってしまうと店舗オーナーとしては、“民事上”と“刑事上”の2つのリスクを背負うことになってしまいます。
民事上のリスクというのは、労働時間としての賃金の支払い義務が課される可能性があることです。
つまり、店舗オーナーの視点からは、手待ち時間が休憩時間として認められると誤解していたが、実際に労働時間として評価させる以上は、その労働賃金が不払いと解釈されるわけで、その不払い分を支払わなくてはならないというリスクがあるということです。
これは実際に、退職予定者や既に退職したスタッフからのこのような請求が来たということで、弁護士事務所等にも結構相談が寄せられる事案です。
刑事上のリスクというのは、労働基準法に準拠した休憩を与えていないということで、何らかの処罰の対象になる可能性があるということです。
労働基準法は強制法規なので、違反があれば罰則が課せられるリスクが伴います。
もし、このような形で、刑事処罰を受けてしまいますと、罰金の支払いなどの実害ももちろんなのですが、“前科”という、肩書きがついてしまうことになります。
そうなってしまうと、サロンの評判や看板にも影響が出てくる可能性もあるでしょう。
退職者に対して、“未払い賃金”という名目のお金を支払わされ、罰金を支払わされ、評判が悪くなり、お客様の足が遠のく。
こんなことになってしまったら、本当にサロンオーナーとしては、踏んだり蹴ったりになってしまいます。
“休憩”のルールを明確化し、労務管理を徹底し、就業規則を強化することで、未然にそのようなことは防げます。
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